BMWのF850GSは、F800GS(2008年-)の後継車として、2017年秋のEICMA(ミラノショー)で公開され、2018年モデルで新発売された。前身のF800GS時代から、並列2気筒エンジンを搭載するBMW・FシリーズのGSモデルとして、オンロード寄りのモデルと併存するかたち(F650GSまたはF700GS)でラインナップされてきたように、F850GSと同時にF750GSも登場し、キャストホイール、正立式フロントフォークのF750GSと、ワイヤースポークホイール(ブロックパターンタイヤ)、倒立フォークを備えた、よりオフロード色の濃いF850GSが並立するかたちになった。ワイヤースポークホイールは、衝撃吸収性に優れているため、F850GSに(前身のF800GSにも)ふさわしい装備だった。なお、車名の「数字」は異なるものの、F750GSとF850GSが搭載するエンジンの排気量は、853ccで共通。これは、2008年にF800GSと同時発表されたF650GS(2気筒)が、F800GSと同じ798ccエンジンだったのと同じ。一般に、車名の数字は排気量が反映されていることが多いため、F850GSとF750GSは異なる排気量のエンジンを搭載するものだと誤解されることがあった。F850GS及びF750GSは、前身モデルと同じ「並列2気筒」のシリンダーレイアウトは取ったものの、そのクランク位相は270度の不等間隔燃焼に変更され、それまではシート下に配置されていた燃料タンクは、一般的な位置(ライダーの前)になった。また、外観上はっきりと分かる差異は、ドライブチェーンが車体の反対側(左側)に移ったこと。スタビリティコントロールやABSも装備された。オプションで、6.5インチのTFTカラー液晶メーターも選択できた(2021年モデルから標準装備)。日本市場では、2018年11月から販売された。2018年のEICMA(ミラノショー)では、派生モデルとしてF850GSアドベンチャーが発表された。2020年7月に発表された2021年モデルでのマイナーチェンジでは、LEDウインカーも標準装備。メーター右側にUSBソケットも備えられた。※日本向けモデルには、LEDの灯火類、グリップヒーター、ETC車載器が標準装備された。