BMW・F800GSは、2007年秋のEICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)で発表された、ミドルクラスのエンデューロモデル(日本市場では2009年発売)。同時に、F650GSという姉妹モデルも発表された。この両車が搭載したエンジンは、排気量798ccの水冷並列2気筒DOHCユニットで、2006年に発売されたF800S/STと同系統。ボンバルティア・ロータックスと共同で開発されたフラットツインエンジンだった。なお、F650GSは「数字」のために650ccと混同されることがあるが、2気筒エンジンを搭載するようになってからは、F800GSと同じ798cc。F800GSとF650GSは、同じGS(ゲレンデ・シュトラッセ)モデルでありながら、キャラクター設定が異なっていた。F800GSは、F650GSよりも、あきらかにオフロード走行指向が強められたモデルで、ワイヤースポークホイールを履き(衝撃吸収性が高くオフロード車向き)、フロントホイールは、F650GSの19インチに対して21インチで(径が大きいことで、悪路走破性と安定性が向上)、倒立タイプのフロントフォーク(路面からの入力に強い)が採用されていた。また、先行したF800シリーズとは異なり、チェーン駆動を採用(F650GSも)していた。2013年モデルでモデルチェンジを受け、各部がアップデートされ、シュラウド形状など外観デザインも変更された。但し、この時のモデルチェンジは、姉妹モデルのためのものであり、ここで、単気筒エンジン時代から使っていたF650GSというモデル名は、F700GSに変更された(それでも、排気量はF800GSと同じ798cc)。F800GSにとって大きかったことは、このモデルチェンジの後に、派生モデルとしてF800GSアドベンチャーが登場したことだった(別項)。2017年のEICMAに、F800GSの後継モデルとしてF850GS(853cc)が登場。F800GSは、2018年モデルまで設定され、11年のモデルライフに幕を下ろした。※日本市場で2017年9月1日以降に出荷された車両には、ETC車載器が標準搭載された。