2000年4月に発売されたDR-Z400Sは、398ccのエンジンを搭載したデュアルパーパス(オフロード)モデルだった。国内向けのオフロードモデルは、250cc以下が中心だったので、登場時点で400ccクラスというのは珍しかった。日本国内向けオフロードモデルとしては大きめな排気量のエンジンは、水冷4スト単気筒DOHC4バルブというスポーツモデルさながらの仕様で、40ps(29.4kW)のハイパワーを発揮していた。これは、並行してエンデューロレーサーのDR-Z400が開発されており、DR-Z400Sは、その公道仕様という位置付け(あるいはDR-Z400Sから保安部品やセルフスターターを取り除いたのが、レーサーのDR-Z400)だったから。パフォーマンスレベルが競技志向という側面があった。シリンダーヘッドカバーやクラッチカバーがマグネシウム製だったことや、鍛造ピストンの採用、フレームにオイルタンクを内蔵したことによる軽量化・コンパクト化だけをとっても、そんな素性がうかがい知れた。前後のサスペンションには、伸縮調整可能なアジャスタブル機能を備えていた。2004年には、騒音規制に対応する形でマフラー形状などを変更。その後、2008年6月に発売された2009年モデル(K9)まで生産された。9月からは新しい排出ガス規制への適合が求められたため、その直前に最終仕様をリリースしたかたちとなった。