1994年に登場したニンジャZX-9Rは、フルカウルを纏いながらも「レーサーレプリカ」ではなかった。当時のスーパーバイクレースでは、4気筒エンジン車の排気量上限は750ccであったので、そのレプリカはZXR750であり、後年登場するニンジャZX-7Rであったためだった。レプリカではない、ニンジャZX-9Rのコンセプトは、究極のスーパースポーツ。登場の94年がGPZ900Rニンジャのデビュー(84年)から10年が経ったことを受けて、第2世代のニンジャとしての位置付けにあった。初期型のニンジャZX-9Rのコード設定は、ZX900B1。エンジンはZXR750用の水冷4気筒ユニットをベースに、899ccまで排気量拡大し、ZZR1100(ニンジャZX-11)でも実績のあるラムエアシステムも併用しながら139psを発揮した。4年後の1998年にフルモデルチェンジでは、C型(ZX900C1)に進化。ここでベースエンジンをニンジャZX-6R用に変更した。以降、2000年にE型に(外観を大きく変更)、02年にF型にしながら、2003年モデルまで生産されたのち、ニンジャZX-7Rと統合されて、2004年、新しいスーパースポーツとなるニンジャZX-10Rを登場させた。なお、900ccという排気量は、Z1(900スーパー4)やGPZ900R(ニンジャ)に代表される、カワサキにとって特別な意味を持つ排気量であったことから、ニンジャZX-9Rは「マジック9」と呼ばれることもあった。