YZF-R7というモデルは、1999年と2021年の2回、発売された。1999年に登場したR7は、750ccクラスのピュアスポーツモデル。このYZF-R7(OW-02)が初めて姿を見せたのは、1998年9月に行われたインターモト(ミュンヘンショー)でのことだった。スーパーバイクレースでの勝利のために開発された新型モデルだったので、展示されたのはベッドライトなど存在しないスーパーバイクレース仕様。YZF-R7のモデル名には、「OW-02(オーダブリュー・ゼロニ)」というコードネームがカッコ付きで表記されることが多い(この項でも同様)が、このことは、スーパーバイクレース専用モデルとして、1989年に発売されたFZR750R(OW-01)の後継モデルであることを示していた。そのため、YZF-R7は、YZF-R1に始まったYZF-Rシリーズの一員でもあり、スーパーバイク参戦用のホモロゲーションモデルとして、OW-01の系譜にも連なると考えられた。ミュンヘンの2か月後、98年11月のバーミンガムショーでは、市販モデルとしての1999年型・YZF-R7(OW-02)が登場。バルブやコネクティングロッドにチタン素材を用い、当時のWGPマシン、YZR500の技術をフィードバックしたアルミ・デルタボックスフレーム、ヤマハの市販車として初採用のバックトルクリミッターなど、公道用モデルばなれした豪華な装備が奢られていた。世界限定500台が販売された。2021年に登場したYZF-R7(モデルイヤーは2022年)は、MT-07をベースにしたフルカウルスポーツ。エンジンは、排気量689ccの並列2気筒で、フレームともども同年モデルのMT-07と同じ。日本市場でもラインナップされていたMT-25とYZF-R25の関係性と同じだったが、YZF-R7の場合は、MT-07には備えられなかったアシストスリッパークラッチが装備され、倒立フォーク、フロントブレーキキャリパーにラジアルマウントが採用されているなどの差異もあった。日本市場では2022年2月に発売された。新生YZF-R7には、まったくキャラクターは異なれど、2020年にカタログ落ちしたYZF-R6(599cc並列4気筒・海外専用モデル)の抜けた穴を埋める役割も与えられていた。