800cc3気筒のミドルクラス・タイガーシリーズは、2010年秋に、2011年モデルとして新登場した。設定されたのは2モデルで、オンロード寄りのタイガー800(無印)と、オフロード走行性能を向上させたタイガー800XCがラインナップされた。XCが、クロス・カントリーを意味していたことからも分かるように、無印のキャストホイールに対して、衝撃吸収性に優れたスポークホイールを採用し、サスペンションストロークも長くとられているなどの違いがあった。外観上の大きな違いは、ヘッドライトの下に、「くちばし」のような大きなマッドガードが取り付けられていたこと。2015年モデルでフルモデルチェンジを受け、無印が、新たにタイガー800XR(クロス・ロード)という名称になったのに対し、タイガー800XCの名は変わらず。アクセル開度を電気信号で伝達するライドバイワイヤ(スロットルバイワイヤ)やトラクションコントロールなどの電子制御化が進んだ。また、この際に、クルーズコントロールなどを備えた上級仕様として「タイガー800XCx」が設定され、その後、装備を追加した最上級グレードとしてタイガー800XCAも登場した。2018年に受けた2度目のフルモデルチェンジでは、大幅な軽量化が図られるなどの改良が加わり、ここで、グレードラインナップがタイガー800XCxと同・XCAに絞られた。XCxは、800ccタイガーシリーズきってのオフ指向が強いモデルとなり、XCAは、その上級仕様として、フルLEDの灯火類やシートヒーターなどを装備した(その分、少し重い)。なお、エンジンの最高出力は、70kW。これは、欧州のA2ライセンス所有者向けの35kW版を用意するための設定。ベースモデルが70kW以下である必要があった。