VFRは、排気量781ccのV型4気筒エンジンを搭載したロードスポーツとして、1998年4月に登場した。同年1月に250ccのVツインエンジンを搭載したスポーツバイクが、排気量表示なしにVTRとして登場したのと同様に、VFRも、VFR800ではなく、単にVFRというモデル名だった。いや、前身のモデルがVFR750Fだったことを考えれば、VFR800Fとして登場したほうが、よりイメージしやすかったはず。VFRは、250cc以上のバイクに翌年から導入されることになっていた平成11年排出ガス規制をクリアするために、フューエルインジェクションと排出ガス浄化システムを備えながらも、VFRシリーズが紡いできた高い運動性能を両立させていた。のちにホンダ車では当然の装備となる前後連動式ブレーキを、国内モデルとして採用したのもVFRだった。2002年にはフルモデルチェンジを受け、カウルデザインを一新して、マフラーは(そのころ流行していた)センターアップレイアウトになった。とはいえ、2002年新型のもっとも大きなトピックは、エンジンの回転数に応じて吸排気のバルブ稼働本数を可変させるVTECシステムを、V4エンジンに対して初めて採用したこと。それぞれの回転域に応じたパワーデリバリーを行うとともに、静粛性や環境性能も高められていた。2006年モデルでABSを標準装備したあとに、トリコロールカラーのスペシャルモデル(2007年)を登場させ、約10年のモデルヒストリーに幕を下ろした・・・かに思えたが、2014年に、ニューモデルが登場。新型の車名には、ついに「イメージしやすい」VFR800Fが採用されていた。※既述のとおり、ホンダによる車名は「VFR」だが、市場ではVFR800と認知されていることもあるため、この欄では双方を併記した。