GPZ900R、GPZ1000RX、ZX-10と進化してきたカワサキの最速フラッグシップモデルは、1990年に登場したZZ-R1100に結実した。そのZZ-R1100の小排気量シリーズとして、同じ1990年に発売されたのが、ZZR400(ZZ-R400)だった。他に、軽二輪のZZR250もラインナップされた。ZZR400に搭載されたエンジンは、399ccの水冷直列4気筒DOHCユニットで、4気筒が横並びするかたちながら、ボア57.5ミリ、ストローク38.5ミリのショートストローク設定となっていた。フレーム形式は、リッチなアルミツインチューブをベースに、エンジンシリンダーを囲むようにアルミパイプが伸びる「アルクロス」を採用し、軽さと剛性の高さを両立。ZZR1100は、最高速を狙うハイスピードツアラーだったが、ZZR400は、高速巡航もこなす、クルージングツアラーという性格が与えられていた。1993年にはモデルチェンジを受け、カウル形状がよりZZR1100に近くなり、ホイールベースが短縮されるなどの変更を受けた。97年にはメーターに時計が装備され、2001年には排出ガス浄化システム「KLEEN」を搭載するマイナーチェンジを受けた。その後、04年にフロントブレーキディスクの穴配置が変更されたのを最後に、2006年モデルが最終仕様となった。なお、ZZR1100やZZR250は、ZZRシリーズという意味での兄弟モデルだが、シャシーやフレームなどは全く別物。しかしながら、ZZR400には、エンジンの排気量が異なるだけの輸出モデルとして、ZZR600が存在した。なお、ZZR250の項にも記したが、ZZ-RとZZRの表記が混在していたのはZZR400も同様。カウル上の車名表記は、1993年のモデルチェンジを期に、ハイフンなしのZZR400となったが、カワサキから表記の統一(ZZR)がアナウンスされたのは、2003年モデルのリリース時だった。バイクブロスでは、便宜上ZZR400に統一した。