2009年7月に発売されたフェイズは、排気量250ccクラスの軽二輪スクーター(いわゆるビッグスクーター)だった。1984年のスペイシー250フリーウェイに端を発したホンダの軽二輪スクーターとしては、フュージョン(86年)、フォーサイト(97年)、フォルツァ(2000年)、PS250(2004年)に続くモデルとなり、09年時点では、フォルツァ(3代目のMF10型)と併売されるかたちでの登場だった。なので、エンジンは基本的にフォルツァ(MF10)と同じ、フレームはフォルツァ用をベースにリアまわりを整理した軽量コンパクトなものになっていた。このことの背景には、2000年代のビッグスクーターブームの中で、その寵児となったフォルツァが、モデルを重ねるごとに豪華さを増し、フォルムも、車両価格も、大きくなってしまったことがあった。車両価格比較では、同じ2009年モデルのフォルツァX(ABS・Sマチックなし)が62万円(税抜)だったのに対し、フェイズは55万円(税抜)で7万円も安かった。また、車重もフォリツァX比で16kg軽く、取り回しもしやすかった。ABS搭載モデルも同時設定され、その年の11月にはフォルツァZのようにマニュアルシフト感覚が楽しめるホンダSマチックEvoを搭載した「タイプS」が追加された。その後は、カラーチェンジのみでモデルを重ね、生産が終了した。