ベンリィe:は、2011年から販売されていたビジネススクーターのベンリィの電動化バージョン。2019年3月の東京モーターサイクルショーでお披露目され(この際のモデル名は、ベンリィ エレクトリックだった)、同じ年の10月に行われた「第46回 東京モーターショー2019」には、市販予定車として出展された。いずれの場合も、展示モデルにはナックルガードや大型のフロントバスケット、リアキャリアが装備され、エンジン車のベンリィでいうところの「ベンリィ・プロ」相当だった。2019年末の12月には、市販仕様が発表され、原付1種と原付2種の2クラス(道路運送車両法による区分)に、標準仕様と「プロ」仕様とがラインナップされることが判明した。これは、50と110が用意された内燃機関(エンジン)モデルと同じ。原付1種クラスに該当するベンリィe:は、「ベンリィe:Ⅰ」(ローマ数字で1)と呼称されるようになった。モーターの定格出力は0.58kWで、最高出力は2.8kW。但し、モーターらしく、13Nmの最大トルクを、わずか2,000回転時に発生させていた(参考:同時代のベンリィ50は、4.2Nm)。PCXエレクトリックと同じモバイルパワーパックを2個搭載し、1回充電あたりの後続距離は87km(時速30km定地走行テスト値)だった。2020年4月から、個人向けではなく、法人向けに販売された。その理由は、バッテリーリサイクルに対するホンダの社会的責任からで、バッテリー回収への協力が、購入する法人に求められていた。