R1300RTは、2025年4月に発表された新型の長距離ツアラーだった。BMW伝統の水平対向2気筒エンジン搭載のRシリーズに、1970年代から設定されてきた「RT」モデルは、ドイツ語のReise Tourerの頭文字を取ったもの(Reiseは「旅」を意味)。前身モデルはR1250RT(2019年-)で、車名「数字」の変化からも分かるように、エンジンの総排気量は1,300ccに拡大。先代のエンジンよりもビッグボア×ショートストローク化され、最高出力も最大トルクも向上していた。同時に、欧州規制のユーロ5+(プラス)にも適合。フレームも新設計され、とくにリアフレームは、これまでの鋼管ではなく、アルミ製を採用した。様々な電子制御デバイスを搭載し、ライディングをサポートしていた。自動シフト機構(ASA)もオプション設定された。搭載された技術の進歩は著しいが、大ぶりで「風防」と呼ぶにふさわしいフロントデザインのコンセプトは、歴代のRTモデルのイメージそのままだった。