2015年のミラノショー(EICMA)で発表されたG310Rは、排気量313ccの水冷4スト単気筒エンジンを搭載したロードスポーツモデル。2017年の新型モデルとして発売された。G310Rは、エンジン排気量によって免許区分が設定されている日本市場において「中免で乗れるBMWモトラッド」としての大きな反響を得ることになった。とはいえ、開発に日本市場が意識されたわけではなく、アジア圏や中南米など、二輪市場の拡大が著しい新興国がターゲットにされていたためである。そんな理由から、販売価格も(それまでのBMWと比較して)手頃なレベルに設定されていた。安価とはいっても、ABS(アンチロックブレーキ)が標準装備され、倒立フォーク、ラジアルマウントされたフロントキャリパーなど、仕様は上位モデルたちとそん色ないものであった。また、このエンジンには、「前方吸気後方排気」という特徴もあった。これは、一般的なバイクと違い、エンジンの前方から吸気を行ない、後方に向かって排気するというもので、シリンダーそのものも、一般的な前傾ではなく、後傾するスタイルが採用されていた。この後、G310RをベースにしたアドベンチャーモデルのG310GS(2018年-)も発表された。日本では、2017年9月1日出荷以降のモデルにETC車載器が標準装備された。2020年8月、G310R/GSの生産が行われるインドにおいて、両車の新しいモデルのティーザー広告が公開され、10月に発売された。ともにインドの環境規制であるBS-VI(欧州のユーロ5相当)に適合し、ライドバイワイヤの採用、スリッパークラッチの装備、ヘッドライトとウインカーがLED化されるなどの変更を受けた。同年11月には、欧州仕様も発表された。