2015年に、欧州向けモデルとして発売されたXJR1300C。だが、ヤマハとして「XJR1300C」という名称で販売はしていない。日本で1998年に発売され、欧州でもほぼ同じ時期から販売されていたXJR1300がモデルチェンジしたのを受けて、その新型XJR1300を日本市場に輸入したプレストコーポレションが、販売名として付けた名前が、XJR1300Cだった。ただし、輸入元が独自に名付けたというだけでもなく、欧州でも新型のXJR1300を、XJR1300Cと呼称することがあった。それは、従来はトラディショナルなネイキッドスタイルだったXJR1300に、新型は「スポーツヘリテイジ(遺産)」らしいカスタムエッセンスを加えていたから。お披露目されたのは、2014年のインターモト(ドイツ・ケルン)。日本では、XJR1300が2015年モデルまで販売されていたため、混同を避ける意味でも、XJR1300Cという名称が必要だった。1,250ccの空冷直列4気筒エンジンなどの基本構成はXJR1300から引き継いだものだったが、スリムなタンクを搭載したことで、容量はこれまでの21リッターから14.5リッターに減っていたものの、ゼッケンプレート風のサイドカバーデザインやシングルタイプのようなシートとあいまって、往年のカフェレーサー然とした佇まいに一役買っていた。なお、XJR1300C登場の翌年以降、MT09/07ベースのXSR900/700や、ボルト派生のSCR950が、スポーツイヘリテイジモデルとしてデビューしていった。