CBR650Rは、2018年11月に行われたEICMA(ミラノショー)で、2019年の新型モデルとして発表されたフルフェアリングスポーツ。これまでのCBR650F(2014年-)の後継モデルとしての位置付けで、CB6R650FにネイキッドのCB650Fが設定されたように、この新しいCBR650Rとともに、基本コンポーネントを同じくするカフェスタイルのCB650Rも登場した。CBR650Rは、カウリングイメージを一新し、同時代のCBR1000RRファイヤーブレードを思わせるデザインとなったが、かといって、CBR600RRのような位置付けのピュアスポーツへとキャラクター変更したわけではなく、CBR650F時代と同じ、幅広いライダーがスポーツ走行を楽しむことができるモデルだった。そのため、649ccの水冷4スト直列4気筒DOHCエンジンの最高出力は70kW。これは、EUのA2ライセンス保有者に向けた、35kWモデルをラインナップするためだった(スタンダードモデルの出力が70kW以下である必要があった)。アシスト&スリッパークラッチと、セレクタブルトルクコントロール(トラクションコントロール)を搭載し、灯火類は全てLEDが採用されていた。日本仕様は2019年3月に発売された。2020年10月には、マイナーチェンジを受けた欧州向け2021年モデルが発表された。ユーロ5規制に準拠するとともに、新しいフロンフォフォークの採用などの小変更が加えられ、USB電源ポート(タイプC)も追加された。同様の日本向けモデルは12月に発表され、2021年1月に発売された。2023年2月には、日本国内の平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合した(8BL-RH03)。2023年11月のECIMA(ミラノショー)で再度マイナーチェンジを受け、フェアリングデザインの変更を受け、カラーTFTメーターを採用。さらに、通常の6MTに加えて、ホンダが開発した世界初(当時)のバイク用有段式マニュアルトランスミッションのクラッチ操作を自動制御するHonda E-Clutchも選択可能になった。Eクラッチは、発進時や停止時にもクラッチレバーに触れる必要はなかった。とはいえ任意にクラッチ操作することも可能で、DCTや自動遠心クラッチとは異なり「クラッチレバー」は存在するため、(AT限定ではない)大型二輪免許が必要だった。