テネレ700は、2019年の新型モデルとして、2018年11月のEICMA2018(イタリア・ミラノ)で発表された。このニューモデルは、XT500(1976年)に始まったラリーレイドへの参戦、とりわけパリ・ダカールラリーへの挑戦を経て「テネレ(※1)」という記号を持つようになった、ヤマハのアドベンチャーモデルの系譜に連なるもの。2016年のEICMAには、コンセプトモデル「T7コンセプト」として登場し、2017年には「テレネ700・ワールドレイド・プロトタイプ」として再登場、それを受けての市販モデルだった。ミドルクラスの「テネレ」は、XT600テネレ(1983年)からXT660Zテネレ(2008-15)まで、単気筒エンジンを搭載していたが(※2)、新型テネレ700は、689ccの並列2気筒エンジンを搭載。このエンジンは、MT-07やXSR700に用いられていたものをベースに、アドベンチャーモデル向けのセッティングが行われたものだった。2気筒になったとはいえ、もともとコンパクトなエンジンだったので、「テネレ」らしいスリムな車体は変わっていない。ホイールサイズは前21インチ、後ろ18インチ。タイヤはピレリ製のスコーピオンラリーSTRがセットされていた。2019年10月に開催された第46回東京モーターショー2019に参考出品され、2020年夏以降の日本での発売予定がアナウンスされ、実際に2020年6月5日に発売された(※3)。2022年モデルで、平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合した。2024年モデルでは、同じ時代の欧州向けモデルと同じように、LEDウインカーを採用し、タテ型なのが特徴だった液晶メーターは、フルカラー仕様になった。USB電源ソケットを採用。ABSにはキャンセル機構が追加された。後輪のみオフも可能になった。2024年11月に、欧州市場向けの2025年モデルがは発表された。新型のフロントマスクを与えられるとともに、各部のアップデートが施された。その主な内容は、電子制御スロットル採用によるスロットルマップの切り替え機構の搭載、フルアジャスタブルタイプの前後サス、フレームの強化、大きくなったフットペグ、これまでよりも大きくなった6.3インチのタテ型フルカラー液晶ディスプレイメーターの装備など。※1・サハラ砂漠の中南部を指す「テネレ砂漠」に由来。テネレは、現地トゥアレグ族の言葉で「何もない場所」を意味。※2・2気筒エンジン車は「スーパーテネレ」とされていた。XTZ750スーパーテネレ(1989年-)。※3・2020年春からの感染症パンデミック(COVID-19)に伴い、6月5日の発売は延期された。2020年4月中旬現在、延期後の発売日は未定(追記:発売日は、2020年7月31日に再設定された)