1941年、BMWはもっとも有名な軍用モーターサイクル「R75」を発表。戦争映画などにも数多く登場したこのモデルは、当初から軍専用モデルとして開発され、推定18,000台が生産されたと言われている。サイドカーと一体で設計されたR75は兵士3人が乗ることを前提としており、16インチのホイールには悪路走行用のノビータイヤが標準で装着されていた。また、タイヤを交換すれば砂漠を走行することも可能で、それに備えてアップマフラーを装着するとともにエアクリーナーも燃料タンク上に配置。4速トランスミッションは補助変速機付きで、高速・低速の切り替えが出来たほか、2段のリバースギアも装備していた。機構的にもっとも注目すべき点は、オートバイ側後輪ハブとの連結により、サイドカー側のホイールも駆動していたことで、場合によってはライダーの操作によりディファレンシャルギアのロックも可能。エンジンは745ccのOHVで、装備重量400キロを超える巨体を時速95キロまで加速することができた。なお、この車重に対応するためBMWとしては初めて油圧ブレーキを採用したモデルとしても知られている。