VF400F(1982年)にフルフェアリングを装備したバリエーションモデルとして、1984年1月に発売されたのが、VF400Fインテグラだった。フェアリング(カウル)は、ハンドルではなくボディ側にマウントされ、メーター類もフェアリング内に固定することで、軽快なハンドリングを得ていた。V4エンジンが生み出すパワーと、フルフェアリングによる風圧抵抗の抑制によって、ロングライドにおけるライダーの疲労感を軽減させていた。なお、カウル上部の左右には小物入れを装備。ブレーキはVF400Fのようなインボード式ではなく、一般的なディスク式(フロントはダブルディスク式)となった。なお、VF400F/インテグラは、1986年にVFR400シリーズへと発展し、フルフェアリングモデルは、VFR400Rとなった。※余談だが、「インテグラ」という名称は、VF400Fインテグラ以外でも、ホンダの二輪や四輪で使われてきた。二輪の場合は、ロードバイクのフェアリング装備モデルに用いられたほか、2010年代にNC700/750系のスクータールックのモデルにも使われた。インテグラの語源となった英語の「インテグレート」には「統合する」「集約する」の意味があり、VF400Fインテグラのようなスポーツバイク+フェアリングのモデルは、スポーツ性とツアラーの特性を統合したもの、NC700/750系のインテグラはスポーツバイクとスクーターを集約したものという含意があったと思われる。似た意味の言葉としては、FUSION(フュージョン)もホンダのスクーター名として用いられた。