BMWのF650CSスカーバーは、2002年に登場した、BMW流のストリートコミューターだった。ベースになったのは、F650ファンデューロ(1993年-)で、そのオフロードイメージを抜き去って、前後17インチホイールとロードタイヤを履いたモデルだった。登場時には、すでにF650GS(2000年-)が存在しており、オフ色の強いF650GS、オンロード向けのF650CSスカーバーというキャラクター設定がなされていた。スカーバーがオンロード向けなところは、チェーンではなく、ベルト駆動が用いられていたことにも明らか。のちにF800系のロードモデルにも用いられることになるベルトドライブは、スカーバーがBMWとしての初採用だった。また、燃料タンクは、F650GS同様にシート下に設置され、ライダー前面の、「普通はタンクがあるスペース」は、「スタッフベイ」と呼ばれる収納スペースになっていた(ヘルメットホルダーやバッグ、オーディオシステムなどの専用オプションを装着可能)。搭載したエンジンは、排気量652ccの水冷4スト単気筒DOHC4バルブエンジン(ロータックス社との共同開発)で、フューエルインジェクション、5速リターン式ミッション、前後ディスクブレーキが組み合わされていた。2004年のマイナーチェンジでは、エンジンがツインスパーク化(シリンダーあたりの点火プラグが2本)された。F650CS スカーバーは、2006年モデルまで設定された。