2011年に登場した125デュークは、オフロードバイク専業あるいは、大排気量ロードスポーツだけをラインナップし、エントリーユーザーには縁の薄いメーカーと思われていたKTM(オーストリア)を、一気に身近な存在にしてくれたモデルだった。124.7ccの水冷4スト単気筒エンジンは、11kW(15ps)の最高出力を発揮していたが、これは、欧州域でのA1ライセンス(125cc以下かつ11kW以下)に適合するモデルだということを示していた。余談だが、125ccクラスのインプレッションで、「15psでパワフル」という表現を見ることがあるが、そもそもここが上限というだけである。また、KTM125デュークの生産はバジャージ・オート(インド)で行われ、生産コストを下げて、より手の届きやすい価格設定を実現していた。その後、排気量を拡大した200デューク、390デュークと「スモールデューク・シリーズ」を形成し(200デュークは250デュークに入れ替わる)、125デュークは「末弟」などと言われたが、排気量は小さくても登場は先なので、小さい兄貴とするのが正確。2017年にはフルモデルチェンジを受け、大きくスラントしたフロントマスクにLEDヘッドライトを採用するなど、イメージを大きく変えた。2024年モデルでは、フレームも含めて一新された。この年は390デュークもフルモデルチェンジを受けており、もともとシャシーを共有する関係だったので、当然のこと。125デュークはA1ライセンス所有者、390デュークはA2ライセンス所有者向けという関係で、両免許に対応したモデルが、共通のイメージ(デザイン)を持つというのは、KTMに限らずよくあることだった。