1994年2月に登場したGSX400インパルスのバリエーションモデルとして、同年6月に発売されたのが、GSX400インパルスTypeSだった(以下、インパルスSと呼ぶ)。トラディショナルなネイキッドスタイルだったGSX400インパルスに、少し大きめなビキニカウルを装備したモデル、それがインパルスSだったが、ベースモデルのシンプルさと、ちょっと古めなビキニカウルの形状、設定された青/白のツートーンカラーは、かつてウェス・クーリーが駆ったGS1000のレプリカモデルを狙ったものだったのは明らか。カワサキのエディ・ローソン、ホンダのフレディ・スペンサーというようなライダーレプリカイメージの中に、「スズキはクーリー」という印象を確立させたのが、インパルスSだった。余談だが、インパルスSがモチーフにしたGS1000S(79-80年)は、正確に言うとクーリー「レプリカ」ではない。GS1000S(青/白)の登場が先で、それに乗ったクーリーが活躍したのだから。インパルスSは95年にスズキ75周年記念モデルが設定されたのち、96年モデルで小変更を受け、その後ラインナップから外れていった。