海外市場で先行販売されていたFZ750が、日本国内で発売されたのは、1985年4月のこと。量産車として初めて採用された1気筒あたり5本のバルブを持つ、749cc・水冷4スト直列4気筒DOHCエンジンは、45度前傾された状態でフレームに搭載された。これにより、重心を下げるとともに、ダウンドラフト吸気の採用も可能としていた。生み出された最高出力は77psで、トルクは7.0kg・m(海外仕様は100ps)。フレームは角断面のワイドタイプ・ダブルクレードルで、ダウンチューブは取り外し可能。そのため、エンジンを搭載したまま、シリンダーを脱着することまで可能だった。φ39mmのインナーチューブを持つフロントフォークには、スタビライザーが装着され、ねじれ剛性を高めることで、安定性を向上させていた。クラッチは油圧式で、いわゆる「遊び」の調整も不要になっていた。ブレーキは前後ともディスク式(フロントはダブル)で、ラジアル構造のタイヤが採用されていた。1987年3月には、後継モデルとしてFZR750が登場したが、海外市場では、同じ87年にモデルチェンジを受けて販売が継続された。