量産車として世界最大の排気量(当時)を持つメガクルーザーだったロケットⅢは、140ps以上の出力、20kg・m以上の最大トルクを受け止めるため、また、300kgを超えるヘビー級の車体を支えるために、スポーツバイクさながらの足まわりを持ち、高い運動性能を備えたモデルだった。2010年に(日本国外で)登場したロケットⅢロードスターは、そんなロケットⅢをベースに、ロードスポーツモデルとしての資質を顕在化させたバリエーションモデル。両足を前方に投げ出すかたちだったロケットⅢ(クラシックやツーリング含む)とは異なり、ロケットⅢロードスターのステップはミッドコントロールになり、前後サスのセッティングもスポーツライディング向きにセッティングされたことで、クルーザーというよりもストリートファイターのようなハンドリング特性を得ていた。排気量2,294ccの3気筒縦置きエンジンも、基本は同一ながら、吸排気系を刷新し、出力アップと(142psから148psへ)、トルクアップ(20.4kg・mから22.5kg・mへ)が図られ、それに伴いクラッチやドライブシャフトも強化されていた。日本市場へは、2014年と2015年に台数限定で導入された。また、2015年に発売されたロケットX(ロケットⅢ登場10周年記念モデル)は、ロケットⅢロードスターがベースだった。