CBR250フォアは、排気量250ccのロードスポーツモデルとして1986年4月に発売された。搭載されたエンジンは、水冷4スト直列4気筒DOHCで、最高出力45psを14,500回転/分という高回転で発生していた。この超高回転型ユニットのために、エンジン上部のカムシャフトは、従来のチェーンではなく、ギアで駆動されていた。このカムギアトレーン方式の採用は、250ccモデルとして初めてのことであった。高回転時の正確なバルブ作動を実現したこのエンジン(MC14E型)は、CBR250フォアの後も、CBR250R(87年-)、CBR250RR(1990年-)、ジェイド(91年-)を経て、ホーネット(96年-2007年)まで受け継がれていくことになる。そんな名機を搭載したフレームは、「目の字」断面構造を持つアルミツインチューブ・ダイヤモンド式で、「S字」断面スポークのアルミキャストホイールが組み合わされていた。同年7月には、アンダーカウルを装備した特別仕様車を限定販売し、登場からわずか11ヶ月後には、後継モデルのCBR250Rにバトンを渡すことになった。短命なモデルではあるが、その後のレーサーレプリカブームをけん引するCBR250R/RRにつながるモデルだったこと、またホーネットまで続くエンジンを最初に搭載したモデルだったことは、記しておくべきことだった。