R1250Rは、2018年のEICMA(ミラノショー)で発表された、R1200Rの後継モデル。モデル名数字の変化からも分かるように、水冷ボクサーは、その排気量がそれまでの1,169ccから1,254ccに拡大されており、同時に、吸気側バルブには、可変バルブタイミング機構(シフトカム)が搭載されていた。シフトカムは、エンジンの回転数に応じてバルブの開閉タイミング(いつ動く)とそのリフト量(どのくらい上下する)が変化するもので、この新機構の採用もあって、欧州のユーロ5規制に適合した。車体の電子制御システムとしては、ダイナミックESA(エレクトリック・サスペンション・アジャストメント)を採用。走行状況に応じて、前後サスの減衰力やプリロードを自動調整するもので、コーナリングの安定性や駆動力(トラクション)の最適化に寄与するものだった。メーターは、6.5インチサイズのTFTカラー液晶ディスプレイへのマルチ表示タイプになるとともに、スマートフォン(当時のパーソナル情報端末)との連携(Bluetooth接続)も可能になっていた。なお、車名末尾の「R」は、Roadsterのイニシャル。1970年代以降、RTやGSなど、カテゴリー(キャラクター)に応じてモデル拡大を図ってきたBMWにとって、ロードスターは、スタンダードなカウルレス(ネイキッド)モデルのこと。R1250Rも、ロードスターモデルらしいシンプルなネイキッドスタイルだった。日本仕様にはETC車載器も標準装備された。2021年モデルでは、ABSのキャンセル機能(オフ機能)が削除された。2023年モデルでマイナーチェンジを受けた。ライディングモードの選択肢には「ECO」が追加され、ウインカーもLED式に。USB電源ソケットも備えた。