トライデント660は、2020年10月に発表されたトライアンフによるミドルクラスのロードスターモデル。この年の8月にデザインプロトタイプが発表され、翌9月には、最終テストの模様が公開されるなど、情報か小出しにされ、いよいよ10月に完全公開された。トライデント660に搭載された並列3気筒エンジンの排気量は660ccで、数値上は、同時代のストリートトリプルSと同じ。但し、ボア×ストロークは異なっており、ストリートトリプルSの76ミリ×48.5ミリに対して、トライデント660では74ミリ×51.1ミリと、ロングストロークになっていた。最高出力などの数値はストリートトリプルSが上だけど、最大トルクの64Nmは、6,250rpmで発生した。これはストリートトリプルSよりも3,000rpm低いもので、ここから、トライデント660が低中速域を多用する市街地走行を重視したセッティングだったことが伺えた。ライドバイワイヤを採用し、ロード/レインのライディングモード選択が可能。トラクションコントロールは選択されたモードに制御されるとともに、解除することも可能だった。メーターはカラー液晶で、灯火類は全てLED。ウインカーには自動キャンセル機構が備えられた。2025年モデル(2024年10月発表)で、大幅なアップデートが施され、クイックシフターやクルーズコントロールを標準装備化し、6軸IMU(慣性測定装置)を搭載して、コーナリングABSを備えた。エンジンモードは、これまでのロード/レインに「スポーツ」が加わるなどの変更を受けた。なお、「トライデント」という名称は、「三つ又になった武器(矛など)」を意味する言葉で、過去にもトライアンフの車両名に用いられたことがあった。