1980年代前半、エンジンに過給機(ターボチャージャー)を搭載したバイクが各社から発売された。これは、大排気量化・多気筒化を進めるよりも、過給によって(排気量をいたずらに拡大せず)出力を向上させることのほうが、とりわけサイズに制限のあるバイクには適していると考えられたから。そこで選ばれたのが、GL500系の縦置きVツインだった。排気量496ccの2気筒エンジンに、IHI(石川島播磨重工)製のターボチャージャーを装着し、82psの最高出力を発揮。これは、GL500の(自然吸気)48psと比べれば、実に170%以上の出力向上だった。とはいえ、その高出力は、スポーツバイクとしてのハイパフォーマンスに向けられたというわけではなく、もとのGL500がそもそも備えていた、ロングツアラーとしての能力を補強するために用いられていた。そのことは、CX500ターボが、GL500同様にシャフトドライブを採用していたことからも明らかだった。大きなカウルを備えた高速クルージング用ツアラー、それがCX500ターボに与えられたキャラクター設定であり、過給機はそれを実現するための高出力を、経済的なエンジン回転数で得るための道具だった。なお、CX500ターボは輸出専用モデル。1983年には、CX650ターボが登場したが、こちらも国内販売はされなかった。