トランザルプ600Vは、市街地も高速道路も、峠道も、未舗装路さえ走り抜けるオールラウンドなスポーツバイクとして、1987年4月から、日本国内300台限定で販売された。モデル名の「トランザルプ」とは、トランス・アルプス(アルプス越え)のことで、険しい山岳ワインディングをも楽しむことができるバイクであることを表していた。続けて「600V」とあるように、搭載されたエンジンは、583ccの水冷4ストV型2気筒ユニット。Vバンクの挟み度は52度で、シリンダーあたり吸気2本、排気1本の3バルブ式、ツインプラグ点火を採用していた。なお、名前はヨーロッパ由来ながら、技術的なフィードバックを受けたのは、パリダカマシンのNXR750。走破性の高いサスペンション、高速巡行のためのフェアリングは、アフリカの砂漠由来だった。1991年10月には、中型二輪免許版のトランザルプ400Vが登場した。