1199パニガーレが、1299パニガーレへと進化し、「スーパークアドロ」エンジンの排気量を1,285ccまで拡大した2015年、1299パニガーレとは別シリーズのスーパーバイク、パニガーレRは登場した。1980年代以来、ドゥカティ・スーパーバイクにおける「Rタイプ」は、スーパーバイク世界選手権(SBK)参戦のためのホモロゲーションモデル(出場車として認証を得るための車両)としての役割があった。そのSBKのレギュレーションが、2気筒エンジンは1,200ccまでと定めていたため(当時)、排気量を拡大させるわけにはいかず、1299パニガーレとは袂を分かつかたちで、車名から「数字」を外し、単に「パニガーレR」となった。SBKレギュレーションに沿った1,198ccの水冷Lツイン「スーパークアドロ」エンジンは、前身の1199パニガーレRそのままではなく、圧縮比アップなどに伴い、1199パニガーレRの195HPを大きく上回る205HPの最高出力を発生(本国仕様)するようになり、かつ乾燥重量は、前モデル比マイナス3kgの162kgにまで抑えられていた。軽量化のために、カーボン外装やチタン素材のサイレンサー(アクラポヴィッチ製)、リチウムイオンバッテリーなどが採用されていた。前後サスはオーリンズ製の電子制御式で、さまざまな電子制御システムが搭載されていた。[追記]SBKホモロゲマシンとしてのLツイン(2気筒)エンジン搭載モデルは、このパニガーレRが最後となった。後を継いだのは、998ccのV型4気筒エンジンを搭載したパニガーレV4R(2019年)。