CBR400R(NC23)の後継モデルとして、1988年1月に登場したのが、CBR400RRだった。後継モデルではあるものの、型式上はNC23型のままで、同型のままの進化版という位置付けだった。80年代後半のレーサーレプリカブームでは、毎年のように仕様変更を受け、速そうなモデル名に改めることでユーザーに訴求していたということもあった。そのため、NC23ながら、CBR400RがCBR400RRに進化したといえた(型式は同じでも、両車はその「区分番号」が異なる)。カムシャフトをチェーンではなくギアで駆動するカムギアトレーンを採用した水冷直列4気筒エンジンを搭載しながら、空力特性に優れたフルカウル(フルフェアリング)や、前後ともにラジアルタイヤを採用することで、スポーツ性能は大きく高められていた。また、量産4スト車として初めて、アルミ製マフラーを標準採用していた。1990年にはフルモデルチェンジを受け、型式もNC29に改められた。エンジンの基本構成は同じながら、エアクリーナーからキャブレター、排気ポートまでをほぼ直線状にレイアウトするなど、吸排気系を一新するとともに、点火タイミングも電子制御されるようになった。また、フレームや足回りも新設計となり、マスの集中化(車体の重心から遠いところに重いものを配しない)を追求していた。ホイールは戦後ともに17インチサイズとなった。94年モデルで若干の仕様変更を受けたのを最後に、モデルヒストリーに幕を下ろすことになるが、そのとき、レーサーレプリカブームは過去のものとなっていた。