S1000Rは、BMW初のスーパースポーツであったS1000RRのバリエーションモデルとして、2014年に発売された。ベースモデルのS1000RRは、2012年に初のモデルチェンジを受けていたので、2世代目のS1000RRがベースということになった。Rが一つ少ないS1000Rの成り立ちは、いわゆるストリートファイターにカテゴライズされるもの。スーパースポーツのフェアリングを取り外し、街乗りがしやすいようにバーハンドルを装着したカスタムスタイルが、「ストリートファイター」。スーパースポーツを得たBMWが、はじめに展開するバリエーションとしては、生まれるべくして生まれたモデルだった。S1000RRゆずりの水冷並列4気筒999ccエンジンは、ストリートでの扱いやすさを求めて、低中速域でのドライバビリティを重視したもの。車体の電子制御系システムも、ベースモデルゆずりで、ロード/ダイナミック/レインの3種から選べるライディングモード、レースABS、DTC(トラクションコントロール)、DDC(電子制御サスペンション)、クラッチ不要でシフトアップ可能なギアシフトアシスタント、クルーズコントロールを標準装備していた。2017年モデルでマイナーチェンジを受け、欧州の排ガス規制ユーロ4に適合した。4年後の2021年モデルでは、ユーロ5に適合し、初期モデル以来の2眼ヘッドライト(S1000RRのカウルを剥いだような)は、F900Rに似た形状の異形一つ目(LED)になった。電子制御系もアップグレードされた。2025年モデル(2024年10月発表)では、ユーロ5+(ファイブ・プラス)をクリアしつつ、+5PSを果たしたエンジンを搭載。フロントマスクデザインも変更され、2020年モデル以来の左右2眼ヘッドライトを復活させた。同時にナンバープレートホルダーも短くなった。最終減速比が、もちろん、電子制御系のアップデートも行われた。※日本では、2017年9月1日出荷以降のモデルにETC車載器が標準装備された。