懸命に戦後を模索していたBMWにとって、本当の意味での新世代モデルがR50だったと言えるだろう。しかし、このモデルは発売当初は少なからず誤解を生んだと言われている。それは、リアに待望のスイングアーム式サスペンションが装備していたにもかかわらず、フロントにアールズフォークを採用していたからである。世界で最初にテレスコピック式フロントフォークを採用したBMWだけに、時代に逆行したとも思える装備だが、市場に送り込まれる台数が増えるにつれてユーザーはその優位性を理解した。アールズフォークはこうした時代背景に対応し、サイドカーの装着を想定した装備だった。また、アールズフォークのスイングアームにはあらかじめ軸受け穴が2箇所設けられており、車軸を前方に移動することができた。これにより、サイドカー装着時でも軽快なハンドリングが得られたうえ、ショックアブソーバーのストローク量も増大したので、乗り心地も改善することができた。