FZ400は、「ネイキッドを超えた新スポーツマルチ」として登場した400ccクラスのスポーツモデルとして、1997年3月に発売された。当時、ヤマハには空冷4気筒のXJR400/Rと、空冷単気筒のSR400がラインナップされており、それらトラディショナルテイストの高い2モデルに対し、より運動性能が高いモデル(選択肢)としての役割を担っていた。パワーユニットは、排気量399ccの水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンで、最高出力は53ps(当時の自主規制値上限)を発揮。フロントのダブルディスク式ブレーキにはブレンボのキャリパーが組み合わされた。二眼ヘッドライトを備えたスポーティなハーフカウルを備えるものの、ハンドル位置などライディングポジションはネイキッド同様で快適さ重視。ネイキッドモデルの親しみやすさと、水冷マルチエンジンによる動力性能を併せ持っていた。なお、ハーフカウルはフレームにマウントされ、ハンドリングに影響しないかたち。90年代らしさを感じるのは、シート下収納スペースが「VHSビデオ6本相当」と表現されていたことだった。