アプリリア・マーナ850GT(マーナGT850)は、マーナ850(2008年-)にハーフフェアリングを装備した派生バージョンとして、2010年に発売された。マーナ850がベースのため、マーナ850GTも、マニュアルミッションではなく、CVT式の自動変速機を備えたオートマチックスポーツだった。自動変速モードは、ツーリング/スポーツ/レインの三段階から選択可能で、マニュアルモードも搭載。これは、ハンドル部のスイッチ操作で7段変速を行うことができるもの。もちろんクラッチレバーは存在しないので、スイッチのみで行う疑似的な手動変速ではあった。エンジンは、排気量839.3ccの水冷VツインSOHC4バルブユニットで、トレリスフレームに搭載。倒立フォークにフロントダブルディスクブレーキ、チェーン駆動と、見た目はどうみても普通のスポーツバイクなのに、オートマ車という(当時としては)珍しいキャラクターが最大の特徴だった。なお、クラッチレバーなしのモデルではあるが、AT限定の大型二輪免許では運転不可。排気量がAT限定の上限(650cc)を軽く超えていたためだった。[追記]AT限定の大型二輪免許は、2019年12月1日から施行された道路交通法施行令の一部改正に伴い、従来の「総排気量0.650リットル以下」という限定が撤廃され、排気量の上限なく、クラッチ操作を必要としない車両を運転することが可能になった。そのため、マーナ850GTも、AT限定二輪免許で運転することができるようになった。