エルシノアMT250とMT125は、昭和48年(1973年)5月に発売された公道走行可能なオフロードスポーツだった。1970年前後にはじまったモトクロスレース・ブームを背景に生まれたもので、エルシノアMT250とMT125は、それぞれ、市販モトクロスレーサーのエルシノアCR250MとCR125Mをベースに、一般公道走行のための保安部品(ヘッドライトやウインカーなど)を取り付けたものだった。エルシノアMT250は、排気量248ccの空冷2スト単気筒エンジン(23ps)をセミダブルクレードルフレームに搭載し、5速ミッション、前21/後18インチホイールが組み合わされたモデルだった。レーサーのCR250Mは、エンジンオイルをガソリンと混合させていたが(混合給油)、MT250は別体のオイルタンクを持つ分離給油方式が採用されていた。なお、「エルシノア」という名称は、カリフォルニア州ロサンゼルス南東のエルシノア湖(レイクエルシノア)近くで行われていたオフロードレース「エルシノア・グランプリ」に由来した。