ホンダ・オブ・アメリカ・マニュファクチュアリング(HAM)で生産したモデルを日本市場に輸入するかたちで販売された、大排気量のアメリカンクルーザーが、VTXだった。発売は2001年10月で、モデルイヤー上は2002年モデルとなっていた。水冷4ストV型2気筒エンジンの排気量は、実に1,794ccで、発売当時としては、Vツインエンジンの世界最大排気量を誇るものだった。159Nmの最大トルクは、わずか3,000回転時に発生し、インジェクションの採用による優れたスロットルレスポンスが、大排気量ならではのパワーフィールを実現していた。基本的には米国市場向けモデルのままだが、日本国内専用に装備されたものもあった。トップブリッジなどのクロムメッキ処理やエンジンのブラック塗装、放熱フィンのカットなどは、単に外観上の問題に過ぎないが、プルバックされたハンドルは、体格の違いに対応するためでもあったし、前後ホイールに防サビ効果のあるアクリル・シリコンクリア塗装が施されていたのは、雨が多く湿度の高い日本の風土に対応したためでもあった。なお、ホンダによる正式な車両名は単に「VTX」ながら、排気量を含めたほうが認知されやすいという理由から、バイクブロスではVTX1800も併記した。