MTX125Rは、1982年10月に発売されたオフロードバイク。ホンダの125ccクラスの2ストエンジン搭載オフロードモデルは、エルシノアMT125(1973年)以来だった。とはいえ、この10年弱の期間には、技術的な進化、オフロードバイクというカテゴリーの確立などの変化が大きく、エルシノアMT125との関連性はなかった。MTX125Rには、排気量124ccの水冷2スト単気筒エンジンが搭載されていたが、このエンジンには、ATACという排気システムが採用されていた。ATACは、エンジンの回転数に応じて、自動的に排気容積を可変させる仕組みで、低速・中速域でのトルク感が薄いとされていた2ストエンジンの弱点を解決しようという仕組みだった。最高出力は18psで、これはリッター換算(仮に1,000ccだったら何馬力?)すると、約145psにもなる数値で、車体は99kg(乾燥重量)。リアサスは路面からの入力をプログレッシブ(漸増的)なクッション性能で受け止めるプロリンク式。キック始動、6段リターン式ミッション、ブレーキは前後とも機械式リーディングトレーリング(ドラム)だった。