モトグッツィ・V100マンデッロは、2022年モデルとして新登場したスポーツツアラーだった。モトグッツィの特徴的なタテ置きエンジン(クランクシャフトが車体の前後方向に向いている)は、排気量1,042ccで、DOHCヘッドを持ちながらも、同時代のV85TT用エンジン(853cc)よりもコンパクトな構成。潤滑方式はウェットサンプを採用していた。もちろん駆動方式はチェーンではなく、シャフト式。2020年代の新型モデルらしく、、6軸慣性測定ユニット(IMU)を中心としてさまざまな電子制御技術が投入されていた。とりわけ特徴的なのは、二輪車としては世界初(当時)となる「アダプティブ・エアロダイナミクス」の搭載。これは、走行速度や選択したライディングモードに合わせて燃料タンク横の空力デバイス(ディフレクター)の高さが自動的に変化するというもの。ライダーを風圧から守るための機能だった。V100マンデッロは、標準仕様と、上級仕様の「S」がラインナップされ、そのV100マンデッロSには、セミアクティブサスペンションやクイックシフターなどが装備されていた。2023年6月には、イタリア海軍航空隊とのコラボレーションによる限定車「アヴィアツィオーネ・ナヴァーレ」が設定された。2024年11月のEICMA(ミラノショー)で、ユーロ5+をクリアした新仕様が発表された。新たにラジエターガードを備えるとともに、Sバージョンには、前方衝突警告やブラインドスポット情報システム、レーンチェンジアシストが搭載された。また、可変式の空力デバイス(ディフレクター)を備えたV100マンデッロらしい特別仕様として、モトグッツィの風洞設備70周年を記念した特別仕様車「ウィンド・トンネル」が設定された。