世界中のライダーを熱狂させた、R90Sの登場から3年後となる1976年、衝撃的デビューを飾ったR90Sの後継モデルとして、BMWはR100Sを市場へ投入した。世界中のバイクメーカーがこぞって模倣した、あのスタイリッシュなビキニカウルはもちろん継承されている。しかしそれは、BMWにとってはすでに過去の伝統のひとつとなっていた。70年代に登場するBMWモデル群は、確かに性急な足取りであったが、それを冷静に見据え、危惧していたのは他ならぬBMWであった。事実、R100SはR90Sの後継機でありながら、すでにフラッグシップモデルではなくなっていた。そして/7シリーズへの移行と時を同じくして登場するフラッグシップモデル、R100RSに対して、既存のBMWファンに応えるためのモデルとして誕生させ、“S”の称号を継続させたのがR100Sなのだ。ちなみにR90Sゆずりの外観を持つR100Sは、82ccの排気量拡大にもかかわらず、最高出力は2psアップに抑えられていた。