BMW・R1200STは、2005年の新型モデルとして、R1200RTとともに発売された。両車ともに、ツーリング指向のモデルキャラクターの持ち主だったが、R1200RTがライゼ・ツアラー(reise/ライゼ=旅)だったのに対し、R1200STは、スポーツツアラーで、ツーリングモデルらしく大きなウインドスクリーンを与えられてはいたが、R1200RTのようなパニアケースなどは標準装備されなかった。とはいえ、シートは座面が大きく、長距離走行に適したもの。「ロング・ディスタンス・スプリンター」(当時のプレスリリースより)という、一見相反するような表現にも説得力があった。排気量1,169ccの水平対向2気筒(ボクサー)エンジンは、110psの最高出力を発揮し、6速ミッション、シャフトドライブ、前/後のテレレバー/パラレバー・サスペンションシステムなどの組み合わせは、R1200RTと共通。なお、特異なフロントマスクデザインが影響したのかどうか、2008年にはカタログ落ちして、短命なモデルライフを終えた。思い返せば、BMWモトラッドで「ST」を名乗った過去のモデル、R80ST(1982年-)とF650ST(1996年-)も短命だった。