容赦なくチョップされたフェンダー、飾り気のないソロシート、1200Cから受け継いだ砲弾型ヘッドライト、テールランプ一体型ウインカー、贅肉を徹底的に削ぎ落としたスタイリング。最新のスポーツスターを70年代のカウンターカルチャーから生み出されたチョッパーカスタムに仕立て上げたのが1200Vだ。眺めて感じるのは、このままで充分だという満足感。もう、なにも加えてはならない。自分が買うならウインカーさえストックのままでいい。やるならマフラーくらいか、この荒削りのディテールこそ、ファクトリーカスタムの真髄だ。拳を高らかに突き上げるようにして乗るミニエイプバー、両足を前方に投げ出すフォワードコントロールのライディングスタイルは、フリーダムへの主張か。チョップしたフェンダーからあふれる21インチの大径フロントタイヤがもたらすのは、ハイウェイクルージングでの直進安定性だけでなく、コーナリング時の軽快なハンドリングにまでも及び、寝かし込みがとても素直でクイック。きっかけを与えればバタンと車体が倒れ込み、舵角がスムーズに定まるから、ワインディングではついついペースが上がっていく。そう、思いのほかスポーティーだ。しかし、1200V最大の魅力は、イージーライド。気負わずにスニーカー感覚で、サラリと乗れる最新スポーツスターの、なんと軽やかで頼もしいものか。ちょっとそこまでといった街乗りが楽しい。荷物を満載にしての長い旅。たしかに憧れるが、忙しない自分の生活のなかで
彩りを与えてくれるセブンティーツーという選択。これぞ、リアルといえよう。