スーパーヴェローチェ800は、2020年の新型モデルとして登場した、レトロレーサースタイルのスポーツモデルだった。2018年のEICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)に出展された「スーパーヴェローチェ コンセプト」が市販モデルとして登場した、というかたちで、特別仕様の「セリエ オロ」(ゴールド・シリーズ)に対する標準モデル、という位置づけだった。トレリスフレームに搭載されるのは、排気量798ccの水冷4スト直列3気筒DOHC4バルブエンジンで、108kWの出力を発揮するパワーユニットをはじめ、車体構成はF3 800がベースになっていた。デザインは1970年代のロードレーサーのようでありながら、スロットル操作は電気信号で送られ(ライドバイワイヤ)、アップ&ダウン対応のクイックシフターやトラクションコントロール(8段階+無効化)などの先進的な(当時)電子制御システムを搭載していた。メーターは5インチのTFTカラー液晶。なお、特別モデルの「セリエ オロ」とは異なり、スーパーヴェローチェ800(標準モデル)のエキゾーストパイプは、右3本出しスタイルだった。2021年モデルでは早くも仕様変更を受けたが、これは欧州の排出ガス規制・ユーロ5に適合するのが主な目的。外観上では、エキゾーストエンドのデザインが、先にユーロ5に対応したブルターレ/ドラッグスター3気筒モデル同様に変更されていた。ABSの制御モジュールなどもアップデートされた。※コーヒーショップチェーンの名前でも知られる「VELOCE」は、イタリア語で「速い」の意味。スーパーヴェローチェは、スーパーファーストを表していた。