2006年に発売されたBMW・R1200Sは、ボクサーツインエンジンのスポーツマシンとして成功を収めたR1100S(1998年-)の後継モデルだった。ボクサーツイン(水平対向2気筒)エンジンの排気量は、R1100S時代の1,085ccから1,169ccにまで拡大され、Sの称号に相応しく、ロッカーアームやバルブピストンの強化などの専用セットアップが施されていた。ピストンも専用設計で、最高出力はボクサーツインエンジン史上最大の122psを発揮。そのエンジンは、マウント位置を極限まで高めていたが、これはリーンアングル(コーナリングの際に車体を傾けられる角度)を稼ぐため。リーンアングルは52°に設定されていた。なお、先代のR1100Sからは、フロントマスクのデザインコンセプトを受け継いだ。鼻先に、2つの開口部があるこのデザインは、BMWの四輪車には必ず用いられる「キドニーグリル」(キドニーは腎臓のこと。ヒトの腎臓のように左右対称に並べられた)が用いられたもの。キドニーグリルデザインは、いくつかの二輪車で用いられたが、R1200S(R1100S)はもっとも分かりやすい車種だった。標準仕様(アクティブライン)のほか、工場オプションのオーリンズ製リアサス、ABS、グリップヒーターを装備した上級仕様(ハイライン)も用意されていた。