2014年の新型モデルとして登場したブルターレ800ドラッグスターは、前年(2013年)ラインナップされていたブルターレ800の派生モデルだった。排気量798ccの水冷並列3気筒エンジンをトレリスフレームに搭載するネイキッドスタイル、という点では、ブルターレ800と同じだが、モデル名に「ドラッグスター」がついていることからも推察できるように、ドラッグレーサーがイメージされていた。直線路での加速を競うドラッグレースでは、ホイールベースが長くとられて、直進安定性をはかることが多いが、ブルターレ800ドラッグスターは、あくまでも公道用のスポーツモデルなので、ホイールベースは、同年代のブルターレ800と同じ1,380mm。では、ベースモデルとの違いはエクステリア(外観)だけかというと、そうではなく、ブルターレ800のリアタイヤが180mm幅なのに対し、ドラッグスターでは200mm幅。後輪の存在感が強くなっているところが、「ドラッグスター」を名乗るゆえんだった。ライドバイワイヤを採用し、ライディングモードが4種類(スポーツ/ノーマル/レイン/ユーザー設定のカスタム)から選択可能なことや、8段階調整のトラクションコントロール、クイックシフターの装備は、ベースモデルと同じだった。なお、ブルターレ800ドラッグスターとして登場したシリーズは、徐々に「ドラッグスター800」と呼称されるようになっていった(日本国内でのモデル名表記も混在しながら)。