2020年に登場したスカウトボバー・シックスティは、インディアン自身による「ボバースタイル」のファクトリーカスタムモデルだった。ボブが意味する通り、短くカットされた前後のフェンダー、低く抑えられたハンドルバーなどで構成されるシンプルなスタイルが特徴。ブラックアウトされた車体もそれを際立たせていた。もう一つのシックスティ(60)は、エンジンの排気量。日本では馴染みが薄いが、アメリカでは体積も立方インチで表すことが多く、60立方インチは、排気量が999cであることを示していた。ただし、換算すれば、999ccは60.9立方インチなので、「シックスティワン」のほうが正確。それはさておき、999ccのエンジンは、もちろん水冷の60°V型2気筒DOHC4バルブユニットで、先行して販売されていたスカウト・シックスティと同じ。5速ミッション、メンテナンスフリーのベルトドライブ、前後ディスクブレーキを採用し、ABS(アンチロックブレーキシステム)を備えていた。その後、いったんラインナップから外れたが、2025年モデルで排気ガス規制をクリアして、日本市場にも再登場した。フルモデルチェンジを受けているが、水冷式の60°挟み角を持つV型2気筒DOHCエンジン(999cc)ということや、ボバースタイルに変更はなかった。ただ、モデル名が、それまでの「スカウトボバー・シックスティ」から、「スカウトシックスティ・ボバー」に変わって(?)いた。このスカウトシックスティ・ボバーには、スタンダードとリミテッドの2グレードが用意され、リミテッドには、クルーズコントロールやトラクションコントロールが搭載され、ライドモード選択(スポーツ/スタンダード/レイン)も可能だった。