GB350は、排気量348ccの空冷単気筒エンジンを搭載した、クラシカルなテイストが特徴のスポーツモデルとして、2021年4月に「発売」された。カギカッコを付けたのは、このモデルは、もともと前年(2020年)9月にインド市場で発表された「ハイネスCB350」がベースで、その日本向けモデルという位置づけだったから。インドでは「CB」名義だったが、日本では、懐かしい「GB」がシリーズ名として復活したことになる。1980年代にGB250クラブマンやGB400TTなどに用いられた「GB」は、当時からクラシックな雰囲気を持っており、その点が、2021年登場のGB350にも通じるところがあった。もちろん、雰囲気がクラシックであっても、そのことだけを求めたモデルではなかった。GB350の開発コンセプトに「日常から遠出まで~The Honda Basic Roadster」(当時の広報資料より)とあったように、バイク本来の楽しさをさまざまな場面で楽しむことができることを目指したもの。空冷単気筒OHCエンジン、セミダブルクレードルタイプのフレーム、5速マニュアルミッション、前後ディスクブレーキなどの構成要素は、バイクにとって必要なものが、特別に高いスペックではないけれど全て揃っているという状態。2020年代の新型として、トラクションコントロール(HSTC)とABSも搭載されていた。メーターはアナログの速度計に、ギアポジションや燃料計を表示する液晶画面が組み合わされたもの。ヘッドライトを含む灯火類はLEDを採用していた。登場年の7月には、派生モデルとしてGB350Sも発売された。2023年7月に、平成32年(令和2年)排出ガス規制適合モデルが発売された。