大排気量オフロードモデルのXL600Rファラオが発売されたのは、1985年8月のこと。日本国内では300台限定での販売だった。ホンダのビッグオフローダーといえば、アフリカツインが有名だが、85年時点では発売前。その前身モデル的なXLV750Rは発売済み(1983年)だが、XLV750RがVツインエンジンだったのに対し、XL600Rファラオは、591ccの空冷4スト単気筒エンジンを搭載していた。このエンジンには、吸排気効率を向上させるために、4本のバルブを放射状に配置する「RFVC]が採用され、低回転から高回転までフラットなトルクを得るためのデュアルタイプのキャブレターも搭載されていた。XL600Rファラオが、他の「XL(排気量)R」のモデルと異なるのは、「ファラオ」という名称がモデル名に加えられていたこと。これは、当時エジプトを舞台に開催されていた「ファラオラリー」に由来するものだった。デュアルタイプのヘッドライトなどは、1988年に登場するアフリカツイン(パリ・ダカールラリーをイメージ)にも通じるものだった。※、「ファラオ」というのは、古代エジプト王国の君主に用いられた称号のこと。