2016年に発売されたムルティストラーダ1200パイクスピークは、ムルティストラーダ1200Sパイクスピーク(2012-2014年)同様に、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムレース(米国・コロラド州)への参戦マシンレプリカとしての登場だった。ベースとなったムルティストラーダ1200は、2015年のモデルチェンジで、インテークバルブ(吸気)側とエグゾーストバルブ(排気)側のカムシャフトが、独立して可変するテスタストレッタDVTエンジンを採用。回転数に応じて最適なバルブタイミングを実現することで、全回転域でのパワーデリバリーがスムーズになり、燃費も向上していた。ムルティストラーダ1200Sがベースではあるものの、サスペンションはセミアクティブ(DSS)ではなく、レースマシンのレプリカとして、機械式を採用。オーリンズ製のフルアジャスタブルフォークとTXX36リアショックアブソーバが装備されていた。テルミニョーニ製のエキゾーストシステムやフロントフェンダーなどのカーボンパーツも備えられ、レッドトリム付きのホイールやシートもムルティストラーダ1200パイクスピークのオリジナルだった。2017年までラインナップされ、2018年モデルからのムルティストラーダ1260パイクスピークにバトンを渡した。