K1200Sからの進化版となるK1300Sは、2008年のインターモト(ドイツ・ケルン)で発表されたK1300・シリーズ3兄弟の中で長男的な存在。2009年モデルからラインナップされた。K1300・シリーズにおいて、グランツーリズモのK1300GTやパワーネイキッドのK1300Rは、K1300Sをベースとした派生モデルという位置づけだった。搭載されたのは、排気量を1,292.7ccまで拡大した水冷直列4気筒DOHC4バルブエンジンで、175psの最高出力を発生していた。そんな大パワーを持ちながら、アクセル開閉時のギクシャク感をいなす新しい2ステージドライブシャフト、材質の変更とスプリング&ダンパー設定の見直しによってハンドリングが軽くなったデュオレバーサスペンション、第2世代の電子調整式サスペンション(ESAⅡ)などによって、扱いにくさを感じさせないところが、BMWらしいスーパースポーツといえた。なお、K1300S登場の翌年には、新しいスーパースポーツとして、S1000RRが登場した。排気量やキャラクターこそ違うが、同じ4気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツとして、数年間は並存したが、BMWのKシリーズは、6気筒エンジンでグランドツアラーのK1600・シリーズに収れんし、K1300Sは、K1300Rとともに、最後のKスポーツモデルとなった。