CRF1000Lアフリカツイン(2016年-)が、2020年にCRF1100Lアフリカツインへとモデルチェンジした際、最低地上高やシート高が少し低くなった(サスペンションが短くなった)。最低地上高でいえば、250mmから210mmに変更されており、低シート化により乗りやすさという点ではユーザーフレンドリーになったものの、本格的にラフロードを走行するのならば、最低地上高は高いほうが走破性は向上する。その点をカバーするモデルとして、2020年4月に登場したのが、CRF1100Lアフリカツイン<s>だった。数値だけを単純に比較したならば、最低地上高は250mmで、シート高は870mm(ローポジション・850mm)と、CRF1000Lアフリカツインと同じ数値。「アフリカツイン」が、その真価を発揮するための適正な数値は<s>だということだが、実際に乗るユーザーにしてみれば、選択肢の幅が、メーカー自身の手によって用意されているという点で、<s>の有無を選ぶことができるのだから、問題はない。サスペンション以外は、同年登場のCRF1100Lアフリカツインと同じで、ミッションがマニュアル6速または電子制御デュアルクラッチ6速(DCT)の2タイプ設定なのも同一。2022年に期間限定受注車として再販売された。この年、CRF1100Lアフリカツイン・シリーズは、平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合するためのマイナーチェンジを受けた。同時に、オプション装備だったリアキャリアを標準装備。デイタイムランニングライトも採用した。2024年に仕様変更を受け、フェアリング形状が変更されるとともに、チューブレスタイヤ、5段階調整可能なスクリーンを採用。エンジンでは、混合気の圧縮比が高くなり、最大トルクが増していた。そして、もともとCRF1100Lアフリカツインの「ハイシート仕様」としての<s>だったが、CRF1100Lアフリカツインはカタログ落ちし、残ったのは、CRF1100Lアフリカツイン<s>となった。[補足]2019年12月に、日本の二輪免許制度が少し変わり、クラッチレスモデルのDCT搭載タイプは、AT限定大型二輪免許で運転することが可能となっていた。