1987年8月に発売されたVFR750Rは、世界耐久ロードレースで2年連続の総合優勝を果たした(1985-86年)チャンピオンマシン・RVF750のレーサーレプリカモデルだった。市販モデルとはいえ、148万円の車両価格は、同年発売のCBR750スーパーエアロ(79.8万円)や1990年のVFR750F(83.9万円)と比べても、圧倒的に高価。その理由は、チタン合金製のコネクティングロッド(東西冷戦中の当時、軍事需要が大きいチタンは、一般に高価だった)やクロモリ浸炭鋼のカムシャフト(耐摩耗性が高い)といった素材はじめ、エンジン・車体の各部にレース現場からのフィードバックを幅広く採用していたため。燃料タンクも軽量なアルミ製で、カウルの素材もFRPが採用されていた。VFR750Rは、RC30という型式で呼称されることも多いため、バイクブロスでは併記した。レーサーRVF750のレプリカモデルとしては、1994年と95年に限定販売されたRVF/RC45が後を襲うことになった。